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「里海」の学術的基礎
主催:日本海洋学会沿岸海洋研究会
コンビーナ:松野 健(九大応力研),笠井亮秀(京大院農)
日時:平成22年3月30日(火)9:45 〜 16:30
場所:東京海洋大学 講義棟22番講義室(日本海洋学会春季大会第2会場)
■趣旨
沿岸域に適度に人の手を加えることで、生物多様性を高め、より豊かな沿岸環境を創成するという意味で、近年「里海」という概念が提唱されるようになった。
国内では里海に関するシンポジウムが開かれたり、国際会議でも「Sato-Umi」として認知されるようになるなど、里海はいろいろな視点と立場から議論されるようになってきた。
また、里海あるいは同様の概念をキーワードとした行政の取り組みも盛んに行われつつある。
里海には様々な側面があり、沿岸域の環境保全、自然保護、行政や地元の取り組み、経済の問題など、社会環境に密接に結びついているが、これらは沿岸域の生態系や環境がどのように成り立っているかを正しく理解した上での議論でなければならない。
しかし現時点では、里海についての共通認識が得られているわけではない。
一面的な理解のままに、里海の名を免罪符に旧態依然とした開発が行われる危惧もある。
また、人手を入れることによってより良い環境が得られるという考え方に対しては、自然保護の観点から異論もある。
本シンポジウムでは、沿岸域の環境改善のために里海という概念がどの程度有効であるか、現時点での科学的知見に基づいて、その学術的側面を中心に議論することで、多くの人にとっては未だ曖昧な部分も少なくない里海の概念を明確化し、視点の違いを越えてどこまで共通理解が得られるか、今後どのような研究が必要かについて整理されることを期待したい。
■プログラム
部会長挨拶 (9:45 〜 9:50)/武岡英隆(愛媛大CMES)
趣旨説明 (9:50 〜 10:00)/松野 健(九大応力研)
座長 松野 健(九大応力研)
- 1. 科学と社会の相互作用−全国の里海創生活動
- (10:00 〜 10:30) 柳 哲雄(九大応力研)
- 2. 河川、干潟、藻場と沿岸海域の物質循環
- (10:30 〜 11:00) 橋本俊也(広大院生物圏)・村瀬 昇(水産大学校)・吉田吾郎(水産大学校)・樽谷賢治(水総セ瀬戸内水研)・清水健太(広大院生物圏)
- 3. 人手と干潟の生物多様性
- (11:00 〜 11:30) 一見和彦(香川大瀬戸内研セ)多田邦尚(香川大農)
- 4. 人手と藻場の生物多様性
- (11:30 〜 12:00) 谷本照己(産総研)・新井章吾(海藻研)
−速水賞授賞式(12:00 〜 12:10)−
−休憩(12:10 〜 13:30)−
座長 笠井亮秀(京大院農)
- 5. 水産から見た里海のあり方
- (13:30 〜 14:00) 山本民次(広大院生物圏)
- 6. 森・里・海とつながる生態系
- (14:00 〜 14:30) 山下 洋(京大フィールド研)
- 7. 沿岸生態系の生物多様性保全と持続的漁業
- (14:30 〜 15:00) 桜井泰憲(北大院水産)
- 8. 里海と環境共同利用権
- (15:00 〜 15:30) 中山 充(香川大連合法務研究科)
司会 松野 健(九大応力研)・笠井亮秀(京大院農)
- 9. 総合討論
- (15:40 〜 16:30)